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   ベトナム人 偽造 替え玉  日本語試験 

 日本国際教育支援協会の日本語能力試験(JLPT)は、日本語能力を証明するために広く利用されている。受験者はN1~N5に分かれて受験し、合格者には認定証(いわゆる合格証)が与えられる。

 法務省は日本語留学希望者に対し、日本語試験の合格証などを提出させ、「勉学の意思」を確認している。在留資格「留学」を得るためにはJLPTのN5が必要である。すでに来日している留学生はアルバイトのためにN4、就職のためにN2を求める。19年4月に新設された在留資格「特定技能」でもN4以上が必要である

 偽造 替え玉

 19年2月、関空の税関で郵便物から偽造認定書が発見された。受取人のベトナム人の女(25)が有印公文書偽造容疑で逮捕された。女は専門学校に在籍していた元留学生で、N2を何度か受験したが不合格が続いた。就職のためにフェイスブック(FB)で注文した。

 19年8~10月、愛知県でベトナム人ら6人が逮捕された。技能実習生の男(23)は実習期間を延長するために偽造認定書を職場に提出していた。

 偽造認定証の多くは中国で製造される。名前、住所、顔写真などを送れば1週間日本に届く。同業者が増え、1万5千円の相場が崩れ、今は8円でできる。

 「5年前から、数え切れないほど売りさばいてきた。月30件は依頼がある」。FBのベトナム語頁に「広告」を出して注文を受けているベトナム人女性が語った(読売新聞2020年1月26日)。

 18年に東京の教材会社がハノイで実施した試験では受験生の15%に当たる60人が替え玉であった。本人確認のための人民証明書の顔写真が張り替えられていた(読売新聞2020年1月21日)。

 最近では、会場外から無線で正解を伝えてもらう例もある。

 日本政府の対応

 法務省が入国前審査で試験団体に名前を照会して偽物を見破ることは可能である。だが、企業は外見で確認するしかなく、偽造を見抜くことは難しい。

 外務省18年9月から大使館で直接本人に試験をし、合格証が信用できない仲介業者の排除を始めた。1年半で90業者の申請が拒否された(20年2月現在)。

 実態は「労働力」

 留学生は28時間働ける。学費や生活費が稼げるだけでなく、日本の文化や習慣の習得にも役立つからである。

 だが、実態は「労働力」であり、違法就労が横行する。簡単なあいさつも理解できず、入学先の学校名さえ言えない者もいるが、工場での作業は単純であり、言葉は障害とならない。

 外国人労働を単純労働に広げる在留資格「特定技能」が19年に導入されたが、手続きに時間がかかるなどの問題から受け入れ数は伸びていない。 

 ベトナム政府に認可された留学仲介業者は急増し、2千を超えた。農村部の平均年収は20万円であるが、「アルバイトをすれば月30万円稼げる」などと若者を騙し、多額の借金を負わせる。業者の取り分は150万円を超える。

 日本語学校も違法就労を黙認する。日本語学校に在籍する留学生9万人のうち3万人はベトナム人であり(18年度、日本学生支援機構)、不法滞在留学生5千人のうち3100人はベトナム人である。

​ 欧米は厳しい

 米国では在籍する学校の施設内で週20時間まで働けるが、語学学校ではそれも難しい。

 ニュージーランドでは、政府から教育の質が高いと認定された学校の語学留学生は週20時間働ける。

 オーストラリア2週間で40時間働ける。

 英国は語学留学生は働けない。

 カナダの留学生は一切働けない。

  留学生も実習生も実態は労働力  抜本的対策が必要 

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