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[背景] 人手不足と高齢化

 わが国の漁業就業者数はほぼ10年おきに70万(61年)→523万(71年)→45万(81年)→36万(91年)→25万(01年)→18万(11年)→15万(17年)、うち「雇われ」は8.1万(08年)→6.2万(17年)と減少が続く(農水省「漁業就業動向調査」)。

 有効求人倍率は、漁船員2.52倍(17年)→3.02倍(18年)(国交省「船員職業安定年報」)、水産養殖作業員2.08 倍(17年)(厚労省「職業安定業務統計」)であり、深刻な人手不足にある。

 漁港背後集落の高齢化率38.9%であり。高齢化も深刻である(18年、水産庁「漁港背後集落における現状把握のための実態調査」)。

 漁業分野の雇われ就業者の約2割を占める65 歳以上の熟練の高齢労働者が順次引退していくことから、毎年1,000 人の新規雇われ就業者を維持しても、今後も人手不足の深刻化が見込まれる。

​ グラフ→ ( 就業者数 61-17 高齢化 03-18 ) 

これまでの取り組み

[1] 生産力向上のための取り組み
(1) 適正な資源管理措置の下で、①生産性の高い漁船の導入、②海洋環境の迅速な把握、③AI を活用した漁場探査の効率化等、最先端技術の開発、実装、④「浜」単位での先進的な取組事例の全国普及、⑤自動給餌機や自動カキ剥き機の導入等による作業の効率化等を推進し、省力化による生産性の向上に取り組んでいる。
(2) 漁業者1人当たりの生産量が、25.1 トン(11 年)から27.2 トン(16 年)へと増加している。

[2] 国内人材確保のための取り組み
(1) 漁業就業相談会や漁業体験、長期研修等の業界の取組を支援している。
(2) 就業者が減少する中、毎年2,000 人近い新規就業者を着実に確保している。

 17年の新規漁業新事業者数は1971人(都道府県の調査を元に水産庁が推計)。

出所:水産庁「新たな外国人材受け入れ制度に係る制度説明会(漁業分野)分野別個別説明資料」19年3月

新しい資格「特定技能」

 入管法が改正され、新しい資格「特定技能」が19年4月に導入された。14業種で単純労働外国人を受け入れる。

 「漁業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」は18年12月25日に閣議決定された。

 5年間で、2万人程度の人手不足が見込まれるが、4千人程度の労働効率化、7千人程度の追加的な国内人材の確保を実現する。そのため、最大9千人受け入れる。

 「技能実習」は「送出し機関―組合(監理団体)―大企業」の流れであったが、「特定技能」では送出し機関も組合もいらない。試験に合格して雇用契約を結べば働ける。当面は「技能実習」終了者を「特定技能」に切り替えるのが簡単だ。だが、技能実習を経ずに特定技能として受け入れるのが今後の主流となる。​ 
 

大都市圏への過度な集中防止

 農水省は、本制度の趣旨や優良事例を周知するとともに、地方に点在する漁村において外国人を受け入れる環境を整えるため、漁業活動やコミュニティ活動の核となっている漁業協同組合等が、受入れ外国人との円滑な共生において適切な役割を果たすために必要な支援を行う。

 漁業の時期等年間を通じた漁業生産が期待できない漁村地域の事情を考慮し、特定技能外国人が従事可能な漁業関連業務の範囲について柔軟に対応する。

 漁業分野では、同じ地域であっても、対象魚種や漁法等によって繁忙期・閑散期の時期が異なるとともに、漁業経営体の多くが零細で半島地域や離島地域などに存在していること等の特性があり、地域内における業務の繁閑を踏まえた労働力の融通、雇用・支援の一元化といった漁業現場のニーズに対応するため、派遣が必要である。

出所:水産庁「新たな外国人材受け入れ制度に係る制度説明会(漁業分野)分野別個別説明資料」19年3月

用  語

漁  村   主に漁業を生業としている村。海辺の村。(「広辞苑」)
漁業集落   漁港及び港湾背後の漁家4戸以上の集落。6,298 (農水省「漁業センサス」13年)
漁  家   生活の資を得るために、水産動植物の採捕または養殖の事業を行ったもので、1年間に30日以上海上作業に従事する

       個人経営体または雇われ従事者。
漁港背後集落 漁港背後の漁家2戸以上、人口5,000人以下の集落。4,115 (水産庁「漁港背後集落調査」17年度末)

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